パリのポンヌフ橋を舞台に、天涯孤独の青年と失明の危機にかられた女子画学生との愛を描く。レオス・カラックス監督・脚本による、「ボーイ・ミーツ・ガール」「汚れた血」に続く〈アレックス青春3部作〉の完結編で、撮影は「汚れた血」のジャン・イヴ・エスコフィエが担当、音楽はリタ・ミツコによるオリジナル曲『恋人たち』をはじめ、デイヴィッド・ボウイなどの既製曲を使用。
監督:レオス・カラックス
出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュ
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Les Amants du Pont-Neuf (1991) : ポンヌフの恋人のストーリー
真夜中のパリ、人気のないセバストポル大通りの真ん中に横たわる男の足を一台のスポーツカーが轢いていく。それをなすすべもなく見つめる子猫を抱いた女。その男、アレックス(ドニ・ラヴァン)は今は修理のため閉鎖中のポンヌフ橋で暮らす天涯孤独の青年で、女は恋の痛手と眼の奇病を持つ画学生ミシェル(ジュリエット・ビノシュ)だった。数日後、収容所を抜けてポンヌフに戻ってきたアレックスはミシェルがそこで眠り込んでいるのを見つけ、橋に暮らす初老の男ハンス(クラウス・ミヒャエル・グリューバー)に彼女をここに置いてもらうように頼む。アレックスはミシェルの親友マリオン(マリオン・スタランス)の家に侵入し、彼女が初恋の相手であるジュリアン(クリシャン・ラルソン)に去られ、絶望に陥り放浪生活を始めたことを知った。革命200年祭を祝う夜のパリの街を、喧噪や花火や音楽が乱れ交う。アレックスは見物客に得意の火吹き芸を披露し、その姿にミシェルは感動する。2人は互いの気持ちを確かめ合い、夜のポンヌフ橋を踊り狂い、街をさまよい、抱き合うが、地下鉄構内でチェロの音を聞き、それがジュリアンだと分かると狂ったように捜し回るミシェルに、アレックスは彼女がやがて橋を去るのではと不安を抱く。ミシェルに放浪生活をやめ前向きに生きるよう忠告してくれたり、念願の絵を見るため美術館まで連れていってくれたりしたハンスは、自らセーヌへ身を沈めた。季節は秋となり、ある日、地下道を歩く2人の目の前に大きなミシェルのポスターが立ち塞がった。空軍大佐であるミシェルの父が出した尋ね人のポスターであり、彼女の眼の奇病の治療法が見つかったと記されてあった。ラジオでそれを知ったミシェルは有頂天になり、アレックスのもとを去る。次々とポスターを焼き尽くし、最後にはポスター貼りの男を車もろとも爆破、炎上させてしまったアレックスはやがて逮捕される。監獄に入って数カ月後、突然ミシェルが現れ、互いに生まれ変わったことを確認し喜び合う。そして、2人は雪の降りしきるクリスマスの夜に再会する。時を忘れシャンパンで祝ううち、3時の鐘を聞いたミシェルは帰ろうとするが、アレックスは彼女を道連れにセーヌの川底に落ちていく。一瞬抵抗したミシェルだったが、やがて目の前を横切った老夫婦の船に乗り、2人は2度と離れないことを誓い合うのだった。
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